「日本語でラップしてる奴なんて親に感謝とかくだらない曲ばっかりなんだろ。」と偏見に満ちた自分が日本語HIPHOPを貪るようにきくようになったきっかけの曲
日本語HIPHOPについて皆さんどんなイメージがありますか?
自分はチャラチャラしてて「ヨー!チェケラー!」みたいな頭の悪そうな人たちがやっているイメージしかありませんでした。
テレビや雑誌で面白おかしく茶化されてきた「ダボついた服を着た街の輩」というレッテルです。(ヘヴィーメタルも昔、明石家さんまのテレビで同じようなことされてましたね。」
ただ、実際に聞くと「マジでカッケェ・・・」って思うような曲もあるし、気付いたら身体のどこかでリズム取ってる、みたいな気持ちいい曲も存在するのです。
自分の中で順位というものは決められないので、10選という形にしました。
本当に僕は日本に居ながらにしてカルチャーショックを受けました。同じように「なんじゃこりゃ!すげェ!」って気持ちを体感できたとしたら、僕はそれだけで嬉しいです。
EVISBEATS feat.田我流 揺れる」
エリック・サティというフランスの作曲家は生活の中に中に溶け込む音楽を提唱して「家具の音楽」というものを作り上げました。
日常を切り取るという他のジャンルでもありえるテーマですが、HIPHOP的解釈でそれを行うとこんなに気持ちのいい作品になるんだなーって。
田我流は山梨出身で地元のメンバーと一緒にやっているstillichimiyaも好きです。本当に仲の良い人達と悪ふざけしてる感じがめっちゃ伝わってくるので。
トラックを作ってるEVISBEATSは自分でも名義を変えてラップしてたりするんだけど、芥川龍之介の蜘蛛の糸を題材にした曲もやってたりして着眼点が独特で面白いので是非。
TABOO1 feat.志人 「禁断の惑星」
ファンタスティック・プラネットというカルトアニメからサンプリングした不穏なビートが最高。(MVにもファンタスティック・プラネットの映像が一部使われている)
そして何よりも志人!これでもかと小説の中に詰め込まれる言葉の数の量とそれを実現するスキル。ここまで韻を踏みながら話の内容までしっかり通せるラッパーってなかなかいないのでは?って思ってしまう。冒頭の韻踏んでる部分を抜粋すると
「ここは禁断の惑星 忘れ去られた革命 漠然とした雑念の広がる発展の脱線」
ここまで韻踏んでると音が耳に入ってくる時にめちゃくちゃ気持ちいい!
説明するよりも聴いたほうが分かりやすいから聴いてくださいホント。
本当はもっと上げようかと思ったけど(ニトロとかMeisoとか)もう文章書くの面倒だし、この3つだけは聴いてくれ!ってのを書きます。最終的に「あ、やっぱこーゆうブッ飛んでる人間はサイコーだよ」っ思えるような曲、マジで聴いてくれって馬乗りになりながら殴り続けて説得したくなるくらいの3曲です。
THE BLUE HERB 「未来は俺らの手の中」
札幌でBOSS THE MC(ILL-BOSSTINO)とO.N.Oによって結成。
ブルーハーツの「未来は僕らの手の中」のカバーアルバムに入るよていだったが、カバーというよりはアンサーソングになってしまったので、お蔵入りされたので、シングルCDとして発売された。
90年代後半、HIPHOPの中心は東京だー!っていう考えに対して真っ向から立ち向かい「地方にだって東京でやってる奴らより実力があるプレイヤーはいるんだ」と叫び続けたBOSS。
正直、HIPHOPの知識はないんだけど、北海道出身のバンドとか凄いプレイヤーばっかりで、まるでアメリカと北海道は地続きなんじゃねーのか?ってくらい本土とは音の質がかけ離れていた。そんな影響あったかどうかは知らないけれどブルーハーブも異質で淡々と吐き出し続けるラップは生き様が滲み出てくるかのよう。
自分のダメな人生を語る曲なんだけど、基本的にそーゆう曲って着地が傷の舐め合いになることが多い気がするんだよね。だから聞いてても「こっちはオメーなんかと傷の舐め合いしたかねーよ!寄るな!」って思ってしまう。
この曲が違うのは向かい風の中、襟を掴んでしのぎつつそれでも前に進んでいくぞ!って止まっていない所なんだよね。
あと、何も説明してなくても頭に映像が浮かんでくるようなリリック。リリシストってのはこーゆうことなんだなって思わせてくれた曲。
ヴァージョンが違うけど、僕はこっちの方が好きです。(冒頭の吉田拓郎のサンプリングがカッコイイから)
CQ、NIPPS、そして今は亡きDEV LARGE(D.L)の三人で結成。
僕はBUDDHAが一番HIPHOPというジャンルの中で好きだし、なんなら尊敬する日本人3人上げろって言われたら「伊集院光」「吉村秀樹」「D.L」って三本の指に入るくらいカッコイイと思ってる。
日本語HIPHOPがまだ手探りだった時代に、アメリカ帰りで本場のHIPHOPをどうやって日本語に落とし込もうと試行錯誤した功労者。
iLL(病んでる・狂ってる)という思想を広め、太ってるとか大きいというHIPHOPでは良いイメージだけど、日本では悪いとされてるイメージを変えるために名前に「DEV」って入れたり(本人はめっちゃ普通の体型、ていうか細い)広めた思想は数しれず
「知ったふりしろ」ってフレーズをBUDHHA(NIPPS)では多様するんだけど、アメリカでいうところの「Act like you know=相手をわきまえて行動する」って意味を無理矢理直訳してる。やってることはまんまromanticを浪漫って漢字に当てた夏目漱石と同じ事をしてるんですよ。偉大すぎる。
あと、BUDDHAのリリック(歌詞)は狂ってて意味が基本的に分からない。
ただ、何回も何回も聞いてくると自分の中で解釈が付けられたり、その中毒性にヤられちまうわけです。他人の言葉を借りて言うなら「言葉がHIPHOPしてる」ってヤツです。
Lunch Time Speax 「止マッテタマッカ(D.L REMIX)」
茨城で結成されたGOCCI、TAD`S AC、DJ DENKAの三人で結成。
前述したBUDDHA BRANDと親交があり、D.LがRemixを担当。
まずなによりもビートが最高だ・・・。
説明不要でこんなもん気持ちいいに決まってるだろ!って感じ。
その上にラップを落とし込むのが、英語のように日本語を発するGOCCI、それに対してハッキリした滑舌でラップするTAD`S。
特に一番好きなのはTAD`Sの「魂込める漆黒の円盤は巨木が刻み込む年輪のよう」ってリリック。俺はこーゆうカッコイイ日本語が聴きたくて日本人の曲聴いてんだよな・・・。ってしみじみ思いました。
終始、止まることなく成長続けるということを多様な表現で最高のビートに蹴りこんでくる。
「辛くなったり迷った時はここに戻ってこよう・・・」って思わせてくれる曲です。
途中からグダグダになっちゃったけど、だいたいこんな感じです。
僕は盲目的に日本語HIPHOPが好きじゃないから流行りのラッパーの曲とかたまに聴くけど「なんじゃこれゃww」って思う時も多々あるので、一部ですがやっぱり良いモンは良いな!と思いました。
これからも色々と聴かないとな。